
うっ滞性皮膚炎について
Stasis dermatitis
原因
慢性静脈不全によって、足の静脈がうっ血すると毛細血管もうっ血が生じます。次第に、真皮層の毛細血管から微小の出血が起こります。
その部位には、ヘモジデリンという血液成分が沈着し、皮膚が褐色となります。
足には、老廃物だらけの汚い血液が留まっているため、足の血液循環が悪くなります。皮膚は、この悪循環によって角化細胞がダメージを受けて皮膚がカサカサとなり、バリア機能が壊されてしまいます。すると外の刺激から皮膚を守れずに湿疹やかゆみを生じてしまいます。
さらに、痒いに対する掻き壊しやケガの傷が治りにくく、場合によっては傷口が広がり潰瘍にいたることもあります。
検査

うっ滞性皮膚炎の診断では、足の皮膚症状の背景にある静脈の問題を見つけることが重要となります。
診察は足の観察から始まり、赤みや色素沈着、むくみの程度を確認します。これらの皮膚症状が静脈のうっ滞によるものかを判断するため、超音波検査で血管内の血流状態を詳しく調べるのです。血液の逆流や血管の拡張が確認されれば、うっ滞性皮膚炎の診断がより確実になります。
ただし、皮膚炎の原因は静脈の問題だけとは限りません。そのため採血検査で炎症の程度や他の疾患の可能性を調べ、全身状態も含めて総合的に判断していきます。
超音波検査で深刻な静脈の異常が疑われる場合や、症状が重篤な患者さんでは、造影剤を用いたより精密な血管撮影が必要となることもあります。
治療
皮膚の湿疹やかゆみ、皮膚潰瘍の患部に薬を塗っていてもなかなか治らないという方はうっ滞性皮膚炎が疑われます。
皮膚の静脈うっ滞が原因で皮膚症状が悪化しているため、原因のもとである静脈うっ滞の治療を行う必要があります。
基本的な治療方法は、圧迫療法です。弾性ストッキングや弾性包帯で足を圧迫していきます。足に溜まっていた血液が押し出されます。血液が出るだけでも、むくみや湿疹・かゆみ・皮膚潰瘍の症状が改善できます。
また、深部静脈血栓症によって静脈の弁が逆流する場合は、圧迫療法以外に有効な治療方法がないため長期間弾性ストッキングを着用していきます。
下肢静脈瘤によって皮膚から見える静脈(表在静脈)が逆流している場合は、レーザー治療、或いは高周波カテーテルによって手術が必要です。静脈の逆流を阻止できれば、湿疹やかゆみ・皮膚潰瘍の症状は改善します。
一方、皮膚の色素沈着は、一度出来てしまうとなかなか改善するのが難しいため、出来たら早めに治療を開始してください。


