
妊娠静脈瘤
Varix pregnancy
妊娠中の静脈瘤の原因
妊娠すると、血管壁を弛緩させるホルモンの働きによって、血管が拡張されます。
また、妊娠後期には大きくなった子宮によって、腹部・骨盤内の静脈を圧迫し、足へ流れる静脈が滞ってしまいます。
静脈圧が上昇し、静脈が拡張した状態が続くことで静脈瘤を引き起こします。出産後には、圧迫などの要因がなくなるため、ほとんどの女性が下肢静脈瘤の症状が解消されます。
子宮の圧迫
妊娠が進むにつれて、赤ちゃんの成長とともに子宮は大きくなり、下腹部や骨盤内の太い静脈を物理的に圧迫するようになります。
子宮による圧迫で血液がせき止められると、血液の逆流を防ぐ「弁」に想定以上の圧力がかかり続けます。やがて弁が壊れ、血液が逆流して静脈瘤ができてしまうという仕組みです。
女性ホルモンの変化
妊娠中に増加するプロゲステロンとエストロゲンは、血管の壁を柔らかくして広げる作用があります。この血管拡張により、静脈内の血液の逆流を防ぐ「弁」が正常に閉じなくなるのです。弁が機能しなくなると血液が逆流し、静脈内に血液が溜まって血管が膨らみます。このような作用により、静脈瘤の発生リスクが高まってしまうのです。
身体の血液量の増加
妊娠中は、お腹の赤ちゃんと胎盤に十分な酸素と栄養を送り届けるため、母体の血液量が通常の状態から大幅に増えることになります。血液量が増加することで血管内の圧力が高まり、血管への負担が大きくなります。結果として静脈瘤が発生しやすい状況が作り出されてしまうのです。
リスクファクター
どのような女性がなりやすいのか、リスクファクターの研究によると、
- 経産婦さん
- 長時間の立ち仕事をしている人
- 元々静脈疾患のある人
- 身長が165㎝以上ある人
- BMI23以上ある人
などが、妊娠すると下肢静脈瘤にかかりやすいとされています。
予防と治療

この場合、下肢静脈瘤の原因が妊娠であるため、予防することが難しいの実情です。
静脈瘤を発症したときは、長時間の立ち仕事を避ける・着圧ストッキングを着用する・肥満がある場合は肥満を解消する・寝るときや座るときは足を上げるなど、生活のなかで改善策をとるしかありません。
入浴やリフレクソロジーなどでリラックスすることも有効です。
このように、妊娠中は治療方法が限られるなかで上手にやり過ごすことが大切です。
出産後にはほとんどの女性が静脈瘤の症状から開放されます。
妊娠中は、下肢静脈瘤のつらい症状を軽くするために「しのぐ方法」をいろいろと試してみてください。


