ストリッピング手術と費用について

足にボコボコと血管が浮きでている下肢静脈瘤の治療は、現れる症状によってさまざまな治療法があります。その中でも、ストリッピング手術は、壊れてしまった静脈を引き抜いて根本から治す手術方法です。 下肢静脈瘤の日帰り手術、ストリッピング手術について説明していきます。

下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤とは、足の血流に異常が生じて、逆流防止機能を担っている静脈弁が壊れることで血液が逆流、蛇行したり、滞留する病気です。もっとも特徴的なのは、膨れたりコブができたりした血管が皮膚表面にボコボコと浮き上がって見えることです。女性に多くみられる病気で、浮き上がった血管のためにスカートがはけないと悩む方も多くいらっしゃいます。静脈瘤が比較的細い血管にできた場合には、コブにはならずに赤紫のクモの巣状や青い網目状に透けて見えることもあります。

下肢静脈瘤は、機能不全を起こしている血管の種類によって大きく4つのタイプがあります。

また血流が滞り、正常な血液循環ができないために足に老廃物がたまり、以下のような症状が現れたりします。

  • 足がだるく、重い
  • 足がむくむ
  • 足に痛みやかゆみを感じる
  • 夜中にこむら返りが起こる

とくに命にかかわる病気ではありませんが、放っておくと悪化することがあります。
うっ滞性皮膚炎を引き起こして湿疹ができたり、色素沈着が起こって黒ずんだりし、さらに悪化すると潰瘍ができて皮膚が壊死することもあります。足の筋肉、特にふくらはぎの筋肉に疲労が蓄積していたり筋力が弱かったりして、ふくらはぎの筋ポンプ作用(静脈を絞り上げることで血流を心臓に向かわせる作用)が不十分だったり、足の血管に負荷がかかることが多かったりすると下肢静脈瘤を発症しやすいといわれています。
美容師、調理師、教師、キャビンアテンダントといった長時間の立ち仕事に従事している方や、妊婦さんは、下肢静脈瘤のリスクが高いとされています。妊婦さんは、妊娠時に分泌されるホルモンの影響でリスクが高まるため、第2子以降ではさらに発症しやすくなります。 また、親兄弟などで下肢静脈瘤にかかった方がいる場合、発症しやすいといわれています。

下肢静脈瘤の治療、ストリッピング手術に適したケース

下肢静脈瘤の治療には昔からストリッピング手術が行われてきました。これは静脈弁が壊れてしまった静脈にストリッパーというワイヤーを挿入し、ワイヤーごと静脈を引き抜く手術です。

足の表在静脈にはさまざまな太さの血管があります。静脈瘤もその血管の太さによって、血管が太い順に伏在静脈瘤・側枝静脈瘤・網目状静脈瘤・クモの巣状静脈瘤の4つのタイプがあります。ストリッピング手術はワイヤーが挿入できる太さを持った伏在静脈瘤の治療に適しています。足の付け根と膝の内側の2ヵ所を切開して静脈にワイヤーを挿入します。ワイヤーを血管にくくりつけ、神経を損傷しないようにゆっくりとワイヤーごと引き抜きます。
全身麻酔や腰椎麻酔を用いて23日の入院を伴う手術で行うのが一般的です。が、最近では患者さんの負担をより軽くするために静脈麻酔やTLA麻酔という局所麻酔などを駆使して日帰りでストリッピング手術を行う医療機関も増えてきています。

TLA麻酔で日帰りストリッピング手術が可能に

2、3日の入院が一般的だったストリッピング手術ですが、TLA麻酔の導入で日帰りで手術を行う医療機関が増えてきました。TLA麻酔は低濃度大量浸潤局所麻酔という技術で、通常の10分の1ほどの濃度の麻酔薬で足の表面だけを麻酔します。そのため、術後すぐに歩いて帰ることができます。また、麻酔が皮下組織内に長くとどまるため、鎮痛効果が長く続く(10時間以上)ことも特徴です。TLA麻酔は下肢静脈瘤の血管内治療でも広く使われています。医師が全身麻酔の必要があると判断したケースでは、1〜3泊の入院が必要な手術となります。ごく稀に、静脈瘤が残ることがありますが、通常1年程度で退縮して目立たなくなります。ただ、気になる場合には静脈瘤を直接取り除くスタブ・アバルジョン法や硬化法などを併用することで、ほぼ取り除くことができます。

     

    下肢静脈瘤のストリッピング手術の費用について

    下肢静脈瘤のストリッピング手術は健康保険が適用されます。

    3割負担 約35,000円(片足)
    1割負担 約12,000万円(片足)

    目安の料金になります。
    このほか、クリニックによって初診料や検査費用などがかかります。また、手術後は弾性ストッキングの着用が必要となります。別途その費用もかかります。弾性ストッキングは健康保険適用外で5千円〜1万円(一足)です。

    ストリッピング手術、術後の後遺症や合併症

    後遺症

    ストリッピング手術の後遺症としては、皮下出血と神経障害のリスクが指摘されています。 ストリッピング手術ではある程度太い静脈を引き抜きますので、枝血管がちぎれて内出血を起こします。弾性包帯などで圧迫して止血しますが、その後、傷跡が痛み、皮下出血をするリスクはあります。しかし、低侵襲(患者さんの体への負担が小さい)がメリットの血管内治療(レーザー治療や高周波治療)よりも、痛みや皮下出血のリスクは低いという報告もあります。

    また、静脈瘤が神経と近いケースでは抜去の際に神経を傷つけてしまい、しびれなどの後遺症が現れることもあります。しかし、このリスクは非常に低く、しびれもある程度の期間で軽快します。

    合併症

    下肢静脈瘤は、心筋梗塞やエコノミークラス症候群(肺塞栓症)へつながるリスクが懸念されています。どちらも動脈に血栓が詰まることで命を危険にさらす病気です。
    肺動脈に詰まる血栓の9割は足の深部静脈でできるといわれています。ただ、下肢静脈瘤があるからといってそれが直接の原因で心筋梗塞や肺塞栓症になるリスクが上がる事はありません。しかし、下肢静脈瘤が血栓の誘因になることは間違いありませんので、手術後は歩いたりして血行を促進することが大事です。

    ストリッピング手術、術後の注意点

    術後の経過

    日帰り手術の場合、手術後3日以内に診察を受けていただきます。その後1週間後、1ヵ月後の診察を行い、問題がなければ治療は完了となります。
    入院手術の場合は、退院後1週間ほどで抜糸を行います(抜糸不要の場合もあります)。その後1ヵ月後の診察をして、異常がなければ治療は完了です。

    弾性包帯と弾性ストッキング

    ストリッピング手術では引き抜く静脈から枝分かれした静脈などがちぎれて内出血することがよくあります。そのため、術後に弾性包帯で圧迫します。それでも、内出血の跡は2週間ほど残ります。包帯を巻いている間は膝を曲げにくい、曲げると痛むといったことがありますので、なるべく膝を曲げるような動作は控えるようにしてください。
    数日から1週間ほどで抜糸を機に包帯から弾性ストッキングに切り替わります。1ヵ月ほど弾性ストッキングを着用して患部を保護するとともに血行をサポートします。

    運動や力仕事への復帰

    術後はほぼ問題なく日常生活を送れるようになりますが、包帯が取れるまではシャワーを浴びられないなどの制限はあります。また、1週間程度は激しい運動、力仕事、長時間の立ちっ放しの仕事などは控えたほうがいいでしょう。

    まとめ

    下肢静脈瘤のストリッピング手術は長年にわたって治療実績を積み重ねてきた治療法です。手術時の麻酔の改良で日帰り手術も可能になってきました。患者さんのご希望に合わせて、日帰り・入院を選択することもできます。
    最新の血管内治療(レーザー、高周波)が保険適用になって低侵襲をメリットに主流となりつつありますが、病状によっては血管内治療が困難なケースもあり、ストリッピング手術が選択されることがあります。皮下出血や痛みを伴うリスクは避けられないため、担当医とよく相談した上で手術を受けてください。何科に行けばいいのかわからない場合は「血管外科」を標榜しているクリニックへ行くことをお勧めします。

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