下肢静脈瘤の基礎知識

下肢静脈瘤になりやすい人や職業とは?!発生メカニズムと治療法について

2018.07.17
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医療法人見宜堂 梅田血管外科クリニック -大阪市北区 梅田駅 徒歩6分- 医師 古林 圭一

医師 古林 圭一

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梅田血管外科クリニック

【経歴】
日本脈管学会脈管専門医
日本循環器学会専門医
日本外科学会専門医
腹部大動脈瘤ステントグラフト指導医
胸部大動脈瘤ステントグラフト実施医
血管内レーザー焼灼術実施医・指導医

下肢静脈瘤になりやすい人や職業とは

下肢静脈瘤になりやすい状況は以下のようなものがあります。

  • 仕事で立ちっぱなし、または座りっぱなし

歩いたり、立ったり座ったりといった動作をしていると、足の筋肉が動作します。筋肉が動くと血流を促す効果があり、これを「筋ポンプ作用」と呼びます。しかし、同じ姿勢で立ち続け(あるいは座り続け)ていると、足の筋肉を使わないので筋ポンプ作用が働きません。すると足に血液が滞留し続けるため、血管が太くなります。通常は静脈には逆流を防ぐ弁がありますが、血管が太くなるとこの弁が働きにくくなります。

  • 妊娠・出産

妊娠・出産に際しては、以下のような理由から下肢静脈瘤になりやすい状態が続きます。

血液量の増加 妊娠中は体内で赤ちゃんが育つために、母体の血液量は大きく増加します。その量は4~5割増しと言われており、常に静脈は押し広げられやすくなります。
女性ホルモンの増加 妊娠しているとエストロゲンという女性ホルモンが通常の100倍にも増加します。このホルモンは血管を拡張させる効果を持っており、静脈瘤になりやすい環境が作られます。
子宮による圧迫 妊娠後期になると、お腹の中の胎児の成長も進み、子宮が骨盤の中の静脈を圧迫し続けます。足から心臓に向かって流れる血液はここを通りにくいため、下半身に滞留しがちです。

 

 

  • 遺伝

両親とも下肢静脈瘤を持っている場合、その子供に遺伝する確率は90%と非常に高い数値です。どちらかの親が下肢静脈瘤である場合は、子供が男性なら25%、女性なら60%といわれています。

  • 加齢

年齢が上がると、静脈壁にある「弾性膜」が委縮しますし、「平滑筋」も衰えてきます。そのため静脈壁が脆く、伸びやすくなり、静脈瘤が発症しやすくなります。運動量や筋肉量も低下し、筋ポンプ作用が働きにくくなることもそれに拍車をかけると思われます。

  • 肥満

肥満していると常時静脈が圧迫され続けるため静脈瘤ができやすくなります。

  • 便秘

排便時に力を入れると腹圧が上がり、腹部周辺の静脈を圧迫します。これによって静脈の弁に負担がかかり、弁の不具合が発生することがあります。

  • 性別

女性は月経の周期に合わせてプロゲステロンという女性ホルモンが増えます。このホルモンは静脈壁や静脈弁を伸びやすくする作用を持っているので、女性の方が平均的に静脈瘤になりやすいと言えます。

 

下肢静脈瘤の原因・発生メカニズム

下肢静脈瘤の原因

下肢静脈瘤は心臓から送られた血液がスムーズに心臓に戻ることができず、足に滞留することによっておこります。その要因としては以下のことが挙げられます。

  • 脚部の筋肉の減少
  • 呼吸が浅いことにより、胸腔内の陰圧が足りない
  • 腹腔の内圧が上がりすぎている
  • 血液濃度が高く、ドロドロしている
  • 長時間立ったまま(または座ったまま)でいることで静脈内の逆流防止弁が壊れる
  • 激しい運動により逆流防止弁が壊れる

 

下肢静脈瘤発生のメカニズム

  • 静脈の構造

静脈は内膜、中膜、外膜の三層でできており、内膜の内側の空間=内腔に血液が流れます。基本的構造は動脈と同じですが、その違いは内腔に弁があり逆流を防ぐ機能があること、静脈は内腔が大きく、中膜が薄いこともあり、拡張しやすいと言えます。

  • 静脈はなぜ拡張するか?

下肢静脈瘤は静脈が拡張することによっておこります。そのメカニズムは以下のようなものです。

・加齢による影響1

中膜の弾性繊維が減少→血管壁の弾力性低下→平滑筋細胞が委縮→膠原繊維増加→血管壁が固くなる

・加齢による影響2

筋肉量減少により筋ポンプ作用も低下、加えて長年の逆流圧→内膜、中膜の破損・修復を繰り返す→血管壁が厚くなる→拡張につながる

・女性の場合

黄体ホルモン(女性ホルモンの一種)が血管壁を柔らかくする効果がある→妊娠時はこのホルモン分泌が上昇→拡張しやすくなる

・姿勢による影響

物理的に下にあることが多い足の血液が心臓に戻るには、常に重力に逆らう動きが必要です。これを助けるのは呼吸筋(横隔膜、助間筋)やふくらはぎの筋肉です。呼吸筋は胸腔内の圧力をマイナスにする作用があり、下半身の血液を心臓側に引き寄せる働きをします。

また、ふくらはぎの筋肉はポンプと同じ働きをして、血液を上にあげることを補助します。これが筋ポンプ作用と呼ばれるもので、このためふくらはぎは第二の心臓とも言われます。とはいえ常に重力は血液を下げようとしますから、それに対抗するために静脈には逆流防止の弁がついています。この弁は下肢に溜まった血液などから逆流圧を受け続けることで破損し、逆流を止められなくなります。この結果下肢に溜まった血液が静脈瘤を作ります。

下肢静脈瘤の治療法について

保存療法

軽度な静脈瘤の場合、保存療法で進行を止める処置をする場合があります。ウォーキングや睡眠時に足を少し上げるなどの生活上の注意や、弾性ストッキングを着用する方法です。完治ではなく悪化を防ぐことを目的としています。

硬化療法

患部に硬化剤を注入し、弾性ストッキングや弾力包帯で血管をつぶす治療方法です。硬化した静脈は自然と周囲の組織に吸収され数か月から1年程度で消滅します。ただし一定期間色素沈着が見られ、それも数か月続く場合があります。1回の治療が短いこと(15分前後)、切開などを伴わないことなどのメリットがあります。

高位結紮術

必要な個所を小さく切開し、逆流している静脈をしばる方法です。足の付け根、ひざの横などで多く行います。切開と言っても小さな範囲なので入院の必要はありません。比較的再発の可能性がある療法です。

静脈抜去術(ストリッピング手術)

逆流が起こっている静脈の根元側にストリッパと呼ばれるワイヤーを通し、静脈そのものを抜き去る方法です。再発の可能性が低い根本的治療方法ですが、ケースによって入院が必要な場合もあります。

レーザー照射

逆流が起こっている個所に細いレーザーファイバーを差し込み、レーザーの熱で閉塞させる方法です。閉塞した静脈は硬化療法と同様に周辺の組織に吸収されます。メリットとしては、痛みが少ない、傷が目立たない、再発がほとんどないという点が挙げられます。

まとめ

下肢静脈瘤は命にかかわるような症状に発展することはありませんから、長年放置する方も珍しくありません。見た目やかゆみ、痛みなどが気にならない程度であれば無理に治療を推奨しない医師も存在するでしょう。しかし、見た目のストレスが激しい人、潰瘍などに発展している人、状況を理解して改善したい人は「血管外科」に相談することをお勧めします。血管外科は文字通り血管の病気に特化しているので、適切な診断、治療を選択してくれるでしょう。

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