下肢静脈瘤の治療

足の痛みやむくみについて|下肢静脈瘤の原因と手術・費用

2018.07.10
当メディアの監修医院

医療法人見宜堂 梅田血管外科クリニック -大阪市北区 梅田駅 徒歩6分- 医師 古林 圭一

医師 古林 圭一

ご予約・お問い合わせはこちら Tel.06-6232-8601

診療時間 9:00-13:00  14:00-17:00

24時間WEB予約はこちら

梅田血管外科クリニック

【経歴】
日本脈管学会脈管専門医
日本循環器学会専門医
日本外科学会専門医
腹部大動脈瘤ステントグラフト指導医
胸部大動脈瘤ステントグラフト実施医
血管内レーザー焼灼術実施医・指導医

下肢静脈瘤とは足の皮下にある静脈にコブ(瘤)ができて皮膚表面にボコボコと浮き出て見える病気です。さまざまな要因で足の血管に圧力がかかり、血管のあちこちが膨らむことで起こります。血液の逆流を防止している静脈弁が壊れて機能不全に陥るため、血流が滞り、足のだるさやむくみ、痛みなどのさまざまな症状が現れます。下肢静脈瘤の原因、治療手術と費用についてご説明します。

放置すると悪化する場合もある下肢静脈瘤とは

心臓から送られる血流は体の隅々を巡ってやがて心臓へ戻ってきます。足の血管は重力に逆らって血液を心臓に持ち上げなくてはならないため、特別なしくみが備わっています。
それがふくらはぎの筋肉ポンプ作用と、逆流を防ぐ静脈弁です。ふくらはぎの筋肉が血管を絞り上げるように血流を促し、静脈弁が血流の逆流を防止して血液の環流を助けます。ふくらはぎの筋肉の働きが弱くなったり血流が悪くなったりして血流が滞って静脈に圧力がかかると、静脈が膨らんだり、あちこちにコブができたりして静脈弁が機能しなくなります。
長時間の立ち仕事、妊娠・出産、体質遺伝などが要因になると考えられています。

下肢静脈瘤で手術が必要となるケース

下肢静脈瘤は、症状別に伏在静脈瘤、側枝静脈瘤、網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤に分けられます。伏在静脈瘤以外は血管そのものが細いため、ボコボコと皮膚表面に血管が浮いて見えることはなく、症状も軽めでほとんど重症化もしません。血管が網目状、クモの巣状に透けて見えるなど審美的な問題はありますが、必ずしも治療が必要なわけではありません。
伏在静脈瘤は血管がボコボコと浮き出てきます。見た目の悪さから医療機関に駆け込んでくる患者さんも多いようです。
足がだるく重い、むくむ、痛む、夜中にこむら返りを起こすなどの症状が出て、日常生活に支障をきたすことがあります。重症化した場合、うっ滞性皮膚炎の湿疹が現れて黒い色素沈着が起こったり、化膿して赤くはれ上がったりします。さらに進行すると、潰瘍ができて皮膚が壊死することもあります。女性に多い病気で、足の血管がボコボコ浮かび上がっているためにスカートがはけない、プールなどに行けないというお悩みを持つ方もたくさんいます。
有効な薬はありませんが、治療を行えば症状を改善することはできます。ただ、重症化すると治療に要する期間が長くなり、患者さんのQOL(生活の質)の低下は免れません。命にかかわる病気ということはありませんが、悪化する前に適切な治療をすれば回復も早く治療期間も短くすみます。

 

下肢静脈瘤の日帰り手術や治療法について

治療法は保存的療法か、手術などによる根治治療になります。
血液が静脈にうっ滞して症状が出ますので、根治治療では機能不全に陥っている血管を取り去ってしまうことで改善を図ります。心臓への血流は深部静脈が担い、残っている静脈が血流を補いますので、血管を取り去ってしまっても支障はありません。

ストリッピング手術

長年にわたって下肢静脈瘤の根治治療として実績を積んできた治療法です。足の付け根と膝裏を切開して機能不全を起こしている血管にワイヤーを挿入し、ワイヤーごと血管を引き抜きます。不具合のある血管を取り去ってしまうため再発率が低いのがメリットです。 切開を行うために傷跡が残ります。術後に皮下出血や痛みが出ることがある、神経障害が出てしびれを感じることがあるなどのデメリットがあります。ただ、こうした後遺症のリスクは決して高くなく、ある程度の期間が経過することで軽快していきます。
全身麻酔や腰椎麻酔で行われる手術だったため入院が必要でしたが、TLA麻酔という新しい局所麻酔法の普及で日帰り手術も可能になっています。

血管内治療(レーザー焼灼術・高周波カテーテル治療)

下肢静脈瘤の根治治療の主流になりつつあるのが、血管内からレーザーや高周波の熱で血管を焼いて閉塞させる血管内治療です。2011年にレーザー焼灼術が、2014年に高周波(ラジオ波)カテーテル治療が健康保険適用になって広く行われるようになりました。 細い管(カテーテル)を血管に差し込むだけですのでストリッピング手術のように切開の必要がありません。カテーテルにファイバーを通してレーザーや高周波を流してその熱で血管を焼いて固め、術後に弾性ストッキングなどで圧迫しながら閉塞させます。 TLA麻酔で行いますので、日帰り手術が可能です。ストリッピング手術に比べて傷が目立たない、皮下出血や術後の痛みが少ないなどもメリットとして上げられています。また、再発率も良好で、ストリッピング手術と同等程度に低いといわれています。

硬化療法

静脈瘤に硬化剤を注射して、血管を固めてしまう治療法です。注射をするだけですので短時間で終了します。液体の硬化剤に代わって、より効果が高い泡状の硬化剤が使われるようになってきています。 注射した部位がしこりとなったり変色したりすることもありますが、時間経過とともに消えていきます。 ただ、重症の静脈瘤に対しては効果が薄いこと、再発率が高いことなどのデメリットがいわれています。

高位結紮術

足の付け根を切開し、静脈瘤のある伏在静脈をしばって(結紮)逆流を止める手術です。再発しやすいため最近はあまり行われていません。硬化療法と併用することで治療効果を上げる方法が用いられることもあります。

下肢静脈瘤の手術費用はどれくらい?

下肢静脈瘤の治療では弾性ストッキングと、一部の承認外のレーザー治療を除いて健康保険が適用になります。
それぞれの治療歩の負担額は以下のようになります(片足の概算です)。

診察内容 3割負担の場合 1割負担の場合
初診時(初診料+超音波検査) 約3,040円 約1,010円
硬化療法(片足) 約5,000〜約9,000円 約1,700〜約3,000円
ストリッピング手術(片足) 約36,000円 約14,000円
レーザーカテーテル治療(片足) 約45,000円 約14,000円
高周波カテーテル治療(片足) 約45,000円 約14,000円

医療用弾性ストッキングは健康保険適用外で、1足5,000〜10,000円ほどかかります。承認外のレーザー治療(血管内治療)では数十万円になります。

手術後の生活や注意点

日帰り手術の場合には歩いて帰宅することができ、すぐに日常生活にもどれます。内出血や痛みが出ることもありますが、これらは薬で抑えることができ、時間経過とともに治まってきます。感染症のリスクを避けるため、手術当日のシャワーや入浴は避けてください。シャワーは翌日から、入浴は4日後くらいから可能ですが、詳しくは担当医の指示に従ってください。 食事の制限などはありません。飲酒は2日間程度は控えましょう。日帰りでも入院でも、下肢静脈瘤の手術後は数週間〜1ヵ月程度、弾性包帯や弾性ストッキングを着用して、手術効果の定着と血行促進を図ります。医師やストッキングコンダクターの指導のもと、正しく着用してください。術後1週間程度は、傷口や足に大きな負荷がかかる激しい運動、力仕事、長時間の立ちっ放しの仕事、あるいは旅行(海外であれば2週間程度)などは控えるようにしたほうがいいでしょう。下肢静脈瘤は足の血行を促すことが大事です。動かずにいることでエコノミークラス症候群のリスクも生じますので、散歩やウォーキングなどの軽い運動を取り入れることが大切です。

手術の保険適応の有無

下肢静脈瘤の治療では、弾性ストッキングと、一部のレーザー治療を除いて健康保険が適用になります。 気をつけたいのは血管内治療(レーザー治療、高周波治療)に関してです。これは薬事承認された機器での治療だけが健康保険の適用になります。また、学会から認定を受けた施設・医師が行うことが条件となっています。 またIPL治療など、クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤などにレーザー光を照射して消失させる治療もありますが、これは全額自己負担となります。

術後の後遺症や再発のリスク

下肢静脈瘤の手術はレーザーや高周波を利用した血管内治療が主流になりつつあります。患者さんに低侵襲(負担が小さい)な手術として多くの医療機関で行われています。ただ、血管内治療が難しいケースでは、その他の術式が選ばれることもあります。
血管内治療を含めて、手術である以上、後遺症、合併症のリスクを伴います。合併症としてよく見られるのが皮下出血、痛み、炎症、神経障害によるしびれです。
ただ、これらは一時的なもので、内服薬による対応ができますし、時間経過とともに軽快していきます。 低侵襲がメリットの血管内治療であってもリスクは「0」ではありません。どの術式であっても再発率が「0」ではありません。担当医とよく相談をし、リスクが伴うことも十分認識した上で手術に臨むようにしてください。
また、ごく稀にエコノミークラス症候群(肺塞栓症)の原因となる深部静脈血栓症を引き起こす場合があります。脚全体が腫れて少し紫色に変色したり、痛みや熱を感じたりします。
重症のエコノミークラス症候群を発症した場合には血圧が低下し心臓が止まりそうになるため緊急手術が必要です。ただ、医師の指示に従って術後を送っている限り、ほぼ心配は不要です。

まとめ

下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではありませんが、日常生活への影響や審美的観点から患者さんのQOL(生活の質)を低下させるリスクがあります。 ただ、下肢静脈瘤には有効な薬がありません。
保存的にケアをしながら症状とつきあっていくか、手術で根治を目指すかの二択です。レーザーや高周波などを用いた最新の血管内治療に健康保険が適用され、合併症などの身体的負担が少ない、再発率が低いなどのメリットから血管内治療が下肢静脈瘤治療の主流になりつつあります。
症状によっては、長年良好な実績を重ねてきたストリッピング手術も行われています。どちらも麻酔技術の進歩によって日帰り手術が可能になっています。軽症であれば、血管に薬剤を注射して固める硬化療法もあります。 手術である以上、リスクはあります。リスクを認識した上で、担当の医師とよく相談して決断してください。
悩むようであれば、積極的にセカンドオピニオンを聞いてみるのも有効な手段です。

 

当メディアの監修医院

医療法人見宜堂 梅田血管外科クリニック -大阪市北区 梅田駅 徒歩6分- 医師 古林 圭一

医師 古林 圭一

ご予約・お問い合わせはこちら Tel.06-6232-8601

診療時間 9:00-13:00  14:00-17:00

24時間WEB予約はこちら

梅田血管外科クリニック

【経歴】
日本脈管学会脈管専門医
日本循環器学会専門医
日本外科学会専門医
腹部大動脈瘤ステントグラフト指導医
胸部大動脈瘤ステントグラフト実施医
血管内レーザー焼灼術実施医・指導医